潮流と恩寵

作詞:澁谷浩次

作曲:細馬宏通

 

お父さん 僕はお父さん
アメ車を乗り回してた
借り物だったけど

 

お父さん 僕はお父さん
いつもは中古の国産
ドヤ顔でパワーウィンドウ

 

潮流 この潮流に巻き込まれて
ブレーキもきかない
アクセルも踏めない
恩寵 あの恩寵に身を委ねて
いまさら家には帰れない お父さん

 

美術館 僕は美術館
アートを遠巻きに見て
感想を聞かせて

 

美術館 僕は美術館
みんな帰っていった
打ち上げでさらに遠くへ

 

潮流 この潮流に追い込まれて
ため息もつけない
大声も出せない
恩寵 あの恩寵に身を委ねて
いまさら壁画に戻れない 美術館

 

避難民 僕は避難民
故郷(くに)では絵をかいていた
誰にも邪魔されず

 

避難民 僕は避難民
今ではコンクリの壁に
正気を保つための絵を

 

潮流 この潮流に巻き込まれて
お祈りもきかない
愛情もわかない
恩寵 あの恩寵に手を伸ばして
いまさら仮には出られない 避難民