叫びとささやき Cries and Whispers


云ったことによって
聞いたものを計る
云ったことの禍々しさに
うろたえ 箱に閉じ込める
箱の中から漏れ聞こえる
ささやき声もやがて
巨大な叫びとなって
云おうとすることを無かったことにする
云わんとしているわたしが
いつの間にか箱の中に入って
聞いたものを云うことが
聞かれないのではないかと怯え
云ってもいないことを聞いてしまうのだ
云ったから云わないことにするならば
聞き聞かれることが何になろうか?
叫んだのかささやいたのか
聞くことも最早 云うまでもなく
聞き流され 云い流される
流れの中で云うことに等しく
云われなかったも同然であろう