悪魔の歌 Devil’s Song
水の涸れた岸辺で
疲れ果てた夜明けを待って
燃えた陸が瞼に
エコーのような光をひとつ灯した
頬を撫でる景色が
雨季と共に庭先で駈け
笑みを浮かべわたしの
大事な果実の一粒をついに奪った
地上で歪んだ歌は
息の止まった愛のように
黙ってしまった
砂と崖が連なる
暗い闇の鼻先で不意に
響いた花の香りが
詩人や画家や神となって輝いた
畑で腐ったわたしは
叫び終えた愛のように
黙ってしまった
不安な宇宙を漂う
割れたネオンや小枝のように
暗い服のわたしは
海の向こうの悪魔と手をつないでいる