馬男 Horseman
真っ赤な心臓の外苑を
始発が走る
肺を抜け 咳き込む壁の影
旅の終わりに
誰かが開けたズボンの前から
差し込む 朝の光
何年も あの袋に入ったまま
太陽を見ていない
おまえが鳴らす電話のベルが
蹄のように鳴り
ゆっくりと姿を現した
湖のレンズ
いつも過去に出かけて
舌を抜き取られた
苦い水の底から
帰る途中で
手に入れた世界を覆い隠しても
血は止まらない
バカだった あーわたしはバカだったと
嘆く間もなく
自分で仕掛けた時限爆弾から
流れるメロディー
轍のように消えることのない
乾いた本の
余白に 喘ぎながら漂う
無数の亡霊が
呼んでいる ただひとつの名前を
来るべき死を
いつも過去に出かけて
膝を撃ち抜かれた
暴れ馬を恐れぬ
男の手で