馬男 Horseman

shibuya_igloo2010-08-24

真っ赤な心臓の外苑を
始発が走る
肺を抜け 咳き込む壁の影
旅の終わりに
誰かが開けたズボンの前から
差し込む 朝の光


何年も あの袋に入ったまま
太陽を見ていない
おまえが鳴らす電話のベルが
蹄のように鳴り
ゆっくりと姿を現した
湖のレンズ


いつも過去に出かけて
舌を抜き取られた
苦い水の底から
帰る途中で


手に入れた世界を覆い隠しても
血は止まらない
バカだった あーわたしはバカだったと
嘆く間もなく
自分で仕掛けた時限爆弾から
流れるメロディー


轍のように消えることのない
乾いた本の
余白に 喘ぎながら漂う
無数の亡霊が
呼んでいる ただひとつの名前を
来るべき死を


いつも過去に出かけて
膝を撃ち抜かれた
暴れ馬を恐れぬ
男の手で