わたしの3分前

体の外で歌った
旅立ちの3分前
ほんの少しの裂け目に
わたしだけの哲学がある


この絵をかいたのは誰?
ありふれた村の景色
敵も味方も倒れて
さよならと手のひらに書く


霧の世界に働く
幼い踊り子たち
リンゴを売り歩きながら
わたしたちを導いている


この世が終わるのはいつ?
微笑みの3分前
曇った鏡の前で
あなたを思い出している


時がドアを開けて
通り抜けるのを
身じろぎもせずに
見守っている


あなたに見えるだろうか
わたしの背中にある
ほんの少しの裂け目に
ありふれたわたしたちがいる


いつまでも消えることがなく
裏切られることもない
絵のような人々が
ここに来る3分前


時が川を渡り
逃げおおせるのを
まばたきもせずに
見送っている