嘘の町 Lie-Town

あれは獣の声だ
屋根の真上で踊る
もう一度だけ目覚めて
濡れた道を戻る


今日も頭の中で
みじめなボートがすべる
忘れられた岸辺で
惨い花火があがる


一日を つかまえて
逃がさずに つないでおけばいい


あれが今日のわたしだ
弱い手足の夜だ
静まらない心で
濡れた道を歩く


滝壺に 落ちてゆく
優しさを 眺めていればいい


終わりかかった町に
甘い魔法をかけて
通り過ぎる思い出に
嘘の町を作る