間違いの実 the fruit of errata 《Lyric》

下降するカラスの鳴き声
だんだん動かなくなる一日の湯舟で
残された僅かな歌えない音楽の挑戦を受けた


感情の導火線に火がついたら
遠く置き去りにした動画の一コマも
ペンキ缶を提げたわたしに影響を与える


絵筆はキリンの首の発達のように 
手近な幸福のエサ場へと伸びていく
この心の絵が動きだしたらどんなにいいだろう


すべてをめちゃくちゃに破壊してしまいたい
こんな姿はとてもあなたには見せられない
住むことの出来る瓦礫の下でわたしは何を描こう


空想で区切られた領土の優しさ
後からやって来た嵐のような怒り
わたしはテレビの前に座り込んでごはんを食べた


紙袋いっぱいの間違いの実は腐るばかりで
どうすればいいのか途方に暮れて
砂利道に染み込んだ終わりの予感も消えてしまう


断ち切られた言葉が血を流して
庭の暗がりの裸足の踊り子と目が合い
世界は依然としてわたしのものにはなり得なかった


どしゃ降りの天気雨が坂を下る速さで
転がっていく太った歌声 わたしは
その光の片鱗で思想の岩盤をうち砕きたかっただけかもしれない