ふたつの岸 the two shores

わたしは向こう側の岸からきた
水の中をひとりで歩いた
日が昇って蛙が鳴きやむまで
崖の下 息を潜めていた


あなたの岸にはわたしによく似た
砂の流れ いつも想っていた
終わってしまった言葉のような岩場を
ひとつひとつ振り返りながら


ふたつの岸がある
わたしがそこに居る


山は雨に濡れて
人の形の雲が流れ バイパスに消えていった
機械の音のような波が砕けて
心の無い わたしを取り囲んだ


ふたつの岸がある
わたしがそこに居る
ふたつの岸がある
あなたに会いに行く
ふたつの岸がある
わたしがそこに居る